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パンの生地を作るには”グルテン”が決め手

パンの生地を作るには”グルテン”が決め手

自宅でパンを作りをする時、まず知っておきたいのが“グルテン”です。グルテンは伸びやかで弾力のある生地を作ってくれます。

パンの生地

毎日のように食べているパンですが、いざ作るとなると
(どうやるの?)と戸惑う人は多いと思います。

私もそうでした。
”小麦粉で作る”、”イーストで発酵させる”など
ポツンポツンと知っていることはあってもそこから先は未知の世界。

10月11日付けのブログで
「たんぱく質の量がグルテンの強さに影響を与えるため、
最も多い強力粉がパンに向いている」
と書きました。

パンの生地の基礎を作るのがグルテンです。
そして、パンをふんわりさせたり硬くするのがデンプン。

今回はこの2つを見てみましょう。

グルテン

グルテンとは?

小麦粉に含まれる2種類のたんぱく質
グリアジン
グルテニン
に水を加えてこねると発生するのがグルテンです。

グルテンは網目状の構造をしていて
生地をこねればこねるほど網目が細かくなります。
そして粘りと弾力性が強まってゴムのように伸びる性質を持っています。

パンの生地作りでは小麦粉や砂糖などの材料に水を加えてこね始めます。
最初、グルテンの網目は規則的に並びます。
この時、まだ生地は“つながった状態”とは言えず、千切れたり伸ばすと穴があいたりします。

こね続けていくと網目同士が結合してらせん状になったり、シート状につながったりし始めます。
手でこねるとかなり伸びがよくなってきていますが、
何となく硬く感じる部分があり、生地全体がまんべんなくつながってはいません。

さらにこねていくと、らせん状やシート状のグルテンが重なり合って強さを増します。
生地をこねる作業で生地が破れるとグルテンの構造は壊れますが、
こね続けていくと回復します。

これを繰り返しで強いグルテンになり、生地中に広がります。
引っ張ると生地の向こう側が透けるほどの薄い膜にまで伸ばすことができます。

パンの骨格になる

パンはイーストの発酵によって発生する炭酸ガスによって膨らみます。

しかし、中のガスがなくなると一気にしぼんでしまうゴム風船とは違って
グルテンは炭酸ガスが出す気泡を取り込みながら広がります。
グルテンは一方向の平面にしか伸びないのではなく、
縦横無尽に広がることができるためパンの形によらず炭酸ガスを生地の中に保持します。

イーストが頑張って出した炭酸ガスが生地の外に逃げてしまえばパンは膨らみません。
グルテンは生地の内部に存在して発酵が進むにつれて伸び、パンを膨らませます。
オーブンでパンを焼き、75℃前後になるとグルテンを作っているたんぱく質がかたまります。

熱によってかたまったグルテンはもう伸びることはありませんが、パンの形を支えます。
焼きあがったパンをオーブンから出して冷めてもパンがしぼまないのは
グルテンがパンの骨格を作っているからです。

グルテンが弱い粉、グルテンが出来ない粉

グルテンを作るたんぱく質は小麦粉特有の成分です。
小麦粉以外で作られているパンはどうやって作られているのでしょう?

全粒粉

通常のパンに使われる小麦粉は小麦粒の胚乳を挽いたものです。
脱穀して殻を除いた小麦の粒は外皮に覆われています。
内部の大部分が胚乳、ちょこんと胚芽がついています。

全粒粉は小麦の粒を丸ごと全部挽いた粉です。
外皮はミネラルや繊維質が多く含まれています。
胚芽は発芽に必要なビタミン、ミネラル、脂質、糖質、たんぱく質がバランス良く含まれています。

外皮はグルテンのつながりを阻むので
目の詰まったボソボソした食感のパンになるため、
全粒粉100%のパンは美味しいとは言えません。

全粒粉だけではなく強力粉を一緒に使うと外皮の香ばしさを楽しめるパンが作れます。

パンクラスでも何回か全粒粉入りのパンを作りました。
グルテンがつながるまでに相当な時間を要するため、手ごねでは限界があり、
強力粉と全粒粉の割合は7:3程度にしました。

風味が良くて全粒粉らしい食感を楽しめるパンが焼けました。

ライ麦粉

グルテンを形成するたんぱく質はグリアジンとグルテニンだとお話しました。

ライ麦のたんぱく質にはグリアジンが多く、グルテニンは殆ど含まれていません。
そのため、ライ麦粉ではグルテンを形成できないため、生地が膨らまないのです。

さらに、ライ麦には粘りを出すたんぱく質と糖質が含まれていて、
これらは水を加えると粘りを出します。

ライ麦粉を使ってパンを焼く場合、方法は2つあります。

1つは強力粉と配合して作る。
もう1つはライ麦粉を乳酸発酵させてライサワー種を作り、
ライ麦粉に配合して生地を作ること。

ライサワー種とはライ麦粉に水を加えて乳酸発酵させた酵母です。
ライサワー種の酸が粘りを抑えてくれるので、
生地は炭酸ガスを少しだけ保持することができます。
とはいえ、グルテンがないのは同じですから目が詰まってはいるものの、
ライ麦パンらしい酸味のある風味が楽しめます。

米粉

米粉はグルテンを作ることができません。

でも、パン屋さんには米粉パンを売っていることがありますよね?
もちもちとして蒸しパンのような噛み応えがあるのが特徴です。

米粉でパンを作る方法としては、
① 小麦粉と配合して作る
② 粉末状のグルテンを補う
③ 製パン用の米粉を使う
の3つです。

①は全粒粉、ライ麦粉と同じやり方です。
小麦粉と米粉の割合は7:3で作ると米の風味を感じつつ、
グルテンが生地を膨らませてくれます。

②の粉末グルテンとは、小麦粉に水をくわえて練り、
生のグルテンを取り出して乾燥させたパウダーです。
米粉と配合してパンを焼きます。

③は米粉100%のパンを作るために
品種改良された米から作られた米粉です。

米に含まれるデンプンにはアミロースとアミロペクチンがあり、
アミロースの量が多いとふんわりとしたパンになりますが硬くなりやすく、
アミロースが少ないとモチモチした食感でどっしりしたパンになるそうです。

パン専用の米粉はアミロースとアミロペクチンの比率を研究し、
粉の粒の大きさを調整して作られています。

出典:社会のニーズにこたえる!「米粉」の最前線
No.1 アミロースに着目した米パンの軟らかさ長持ち方法の開発!(H25.4.30) | 福井県ホームページ


こねないパン

小麦粉に水を加えた生地に圧力をかけたり伸ばしたりしながらこねると
グルテンは発生するのですが、
“こねないパン”というのもあります。

栗原はるみさんが「こねないパン」という本を出した時に
好奇心旺盛な私の父が「おい、こんな本が出てたぞ」
と買ってきてくれたことがありました。

で、作ってみました。
ボウルに生地の材料を入れて混ぜ合わせ、
ラップをして室内に最低3時間くらい、
気温や湿度によっては5時間くらい置いておくと生地が出来上がります。

力を加えて強制的にグルテンを発生させる代わりに、
ひたすら時間をかけてグルテンを発生させます。

生地を少量取って両手でゆっくり左右に引っ張る
“グルテンチェック”をしてみると
確かに生地はつながっていますが、
生地全体ではつながりが弱いところがあり、
生地のなめらかさが均一にはなりにくいので
“こねないパン”で作るパンは
複雑な成形をしないシンプルな形(丸いパンなど)が合うと思います。

でんぷん

たんぱく質が作るグルテンと共にパンを膨らませる働きがある
デンプンについてもお話しします。

小麦粉の約70%を占めるのがデンプンです。
デンプンはブドウ糖が沢山つながっている多糖類、
「パンを沢山食べると太る」と言われるゆえんです。

パンが膨らんだり、硬くなったりするのは
デンプンの“糊化”と“老化”が原因です。

でんぷんの糊化 ⇒ パンはふんわり

デンプンには
アミロース
アミロペクチン
という2つの分子があります。

この2つは硬く結合した束になっていて水が入り込む余地はありません。
水に小麦デンプンを入れて混ぜても溶けないで残ります。

このままでは体が消化できず、味も美味しくはありませんが
水につけたデンプンを加熱すると“糊化”して消化できるようになります。

加熱によってアミロースとアミロペクチンの強固な結合に
わずかなすき間ができて水が入り込み、
さらに温度が上がると結合の束が広がり、
粘りが出てきます。

85℃になると透明感のある糊のような物質に変化し、
これを“糊化”と呼んでいます。

生米に水を加えて加熱するとドロドロしたお粥が出来上がるのと同じ。

パンをオーブンで焼くと
小麦粉の中のデンプンが生地に含まれた水分を吸収して膨らみ、パン全体に粘りを与えます。

これによってパンがふんわりと焼きあがります。

でんぷんの老化 ⇒ パンが硬くなる

パンの生地に含まれている水分はグルテンも必要とし、
高熱によって蒸発するため、グルテンが完全に糊化するには足りません。

焼き上がり後にパンの温度が下がってくると
糊化したアミロースとアミロペクチンは元の形に戻ろうとして水分を排出します。
しかし、完全に元の形には戻れないので部分的に密接な構造になるのが“老化”です。

硬くなったパンを温め直すとデンプンは糊化してふんわりとします。焼きたての時と同じ水分がある訳ではないので完全に元通りとはいかないまでも、柔らかさを取り戻すことはできます。

パンクラスの例をご紹介

パンクラスでは折に触れて強力粉や薄力粉以外の粉を配合したパンを作っています。

粉の種類や作るパンによって配合割合は変わります。
たんぱく質が少ない(又は無い)粉を混ぜる生地はこねる難易度がぐんと上がり、
生地の状態を見ながら根気よくこねます。

自分との闘いでもあるので“こねあがり!”に辿り着いた時に大きな達成感がある一方で
(ちゃんと膨らんでくれるのかな?)と一次発酵の結果を待つドキドキの時間が始まります。

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このブログではオーナー 福田順子がレシピや料理のワンポイント、食材の豆知識などをお届けしています。

取得資格: ABCクッキングスタジオの認定インストラクターとして登録
     ABCクッキングライセンス
     ABCブレッドライセンス
     ABCケーキライセンス
     フード・レジリエンス協会 ヘルスフードカウンセラー1級
<ディプロマ>
     東京會舘クッキングスクール 西洋料理応用専攻コース修了
     一般社団法人ベターホーム協会 魚料理、肉料理、飲茶、イタリア料理各コース修了
      フード・レジリエンス協会 フィットネスフードデザイナーコース修了

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